GCC Rise of Eldrazi Gameday Final
by Sato Kouhei
『Jund is Dead.』
ここ最近の国内トーナメントシーンの結果を見て、そう思ったプレイヤーも少なくないはずである。各地で行われているGPTや日本選手権予選の上位から、目に見えて「ジャンド」の数が減っているのだ。
代わりに台頭したのが青白コントロール『タップアウト』と、その派生系である『Super Friends』と称されるプレインズウォーカーコントロールデッキに加え、エルドラージ覚醒で《エルドラージの徴兵/Eldrazi Conscription》という最高の相棒を得た《失われたアラーラの君主/Sovereigns of Lost Alara》を軸とした『徴兵バント(君主バント)』である。
そのメタゲームの推移はここGCCにも当然影響を及ぼしており、参加者の間では口々に「タップアウト対策」などと言った声が聞こえてくる。
そんな中行われたエルドラージ覚醒のゲームデイ。決勝に駒を進めたのは、文頭に挙げた『Jund is Dead.』にアンチテーゼを唱える、GCCきってのジャンド愛好者・オオクボ ヒロノブと、現状のメタゲームを的確に読み切って個性的な緑青デッキを持ち込んだタカハシ シモン。
オオクボのジャンドには「タップアウト」対策が施されており、メインボードの《豊穣の痕跡/Trace of Abundance(ARB)》は、《広がりゆく海/Spreading Seas(ZEN)》や《地盤の際/Tectonic Edge(WWK)》、《ゴブリンの廃墟飛ばし/Goblin Ruinblaster(ZEN)》からマナ基盤を保護しながら、自身のマナ加速として活用が可能だ。
そしてサイドボードに搭載された《よろめく死体/Shambling Remains(CON)》は、青白タップアウトをトップメタの一角に押し上げた一因でもある《前兆の壁/Wall of Omens(ROE)》を乗り越えるパワーを持ちながら、《審判の日/Day of Judgment(ZEN)》耐性も兼ね備えた一枚だ。
一方のタカハシのデッキについては若干説明が必要だろう。緑のマナクリーチャーによるマナ加速からの《酸のスライム/Acidic Slime(M10)》や《カビのシャンブラー/Mold Shambler(ZEN)》に加え、現環境の青の必須カードとすら言える《広がりゆく海》での土地破壊・マナ妨害をメインコンセプトとしている。土地を攻めるというコンセプトは、ジャンドに対しては定石とさえ言え、青白タップアウトやPWコントロールにも当然効果は大きい。
そして印象的なのがサイドボードだ。このデッキは2ゲーム目から別のデッキへと変貌する。そう、《召喚の罠/Summoning Trap(ZEN)》と《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn(ROE)》を筆頭とするエルドラージクリーチャーが投入されるのだ。メインデッキのマナ加速がそのまま活かせる、非常に面白いアイディアだ。
余談ではあるが、スイスラウンドで筆者はタカハシに敗れており、型通りの動きをしないデッキで、非常にやりにくい相手だという印象を持った。
常に攻略の対象であり続けるジャンドを、どこまでも練り上げる者と、環境に割って入るべくメタゲームを読んだデッキを創り上げた者。群雄割拠と言える現在のスタンダード環境を制するのは。
Game1
先行はオオクボ。この結果にタカハシ、
「後手は厳しいなー」
と言いながら開けた手札を見るや否やマリガンを宣言。さらに、6枚となった手札もゲームをするに満たないとばかりに即マリガン。一方のオオクボは悩む事なくキープ。
ライブラリーを切り直しながら、
タカハシ「《荒廃稲妻/Blightning(ALA)》でグッドゲームな気がするよ」
と、相手のデッキを踏まえた上での自虐的なコメント。5枚となったところでようやくキープ。
初動はオオクボ2ターン目の《朽ちゆくヒル/Putrid Leech(ARB)》。それ迎え撃つタカハシは《水蓮のコブラ/Lotus Cobra(ZEN)》。ただしフェッチランドを二枚起動しており、《朽ちゆくヒル》相手にライフレースの面で不安を残す。
その事は当然頭に入っているオオクボ、《朽ちゆくヒル》で攻撃を仕掛け、ブロックがない事を確認して即パンプ。さらに《怒り狂う山峡/Raging Ravine(WWK)》を置き、《豊穣の痕跡》を付ける淀み無い立ち上がり。
押され気味のタカハシだが、ここでダブルマリガンとは思えない動きを見せる。《沸騰する小湖/Scalding Tarn(ZEN)》を置いて即起動、《水蓮のコブラ》の能力で一気に3マナを捻り出し、《酸のスライム》をキャスト。《竜髑髏の山頂/Dragonskull Summit(M10)》を破壊し、コブラで攻撃を仕掛ける。
ライフ・盤面ともに盛り返し始めたタカハシに対するオオクボは、《朽ちゆくヒル》の攻撃は《酸のスライム》と相討ちを取られるも、2体目の《朽ちゆくヒル》を盤面に追加し主導権を渡さない構えを見せる。
ならばと返すタカハシ、こちらも2体目となる《酸のスライム》をキャスト。一番破壊したいミシュラランドは《豊穣の痕跡》に守られているため、沼を破壊。
マナが伸びないオオクボだが、《豊穣の痕跡》のおかげで色マナには苦労しない。《大渦の脈動/Maelstrom Pulse(ARB)》で《酸のスライム》を排除し、《朽ちゆくヒル》で攻撃。マナ加速の手段である《水蓮のコブラ》を守りたいタカハシがブロック無しを宣言すると、オオクボは《朽ちゆくヒル》パンプでダメージレースに持ち込む。
ライフが心許なくなってきたタカハシ、攻勢を食い止めるべく《広がりゆく海》プレイ後、《カビのシャンブラー》をキッカー無しでキャストするが、これをものともせず攻め込むオオクボ。この《朽ちゆくヒル》の攻撃に対してタカハシ小考の末スルー。それを受けてオオクボ、当然のようにヒルパンプ。さらに第二メインにキャストされたのは《狂乱のサルカン/Sarkhan the Mad(ROE)》。攻撃後の《朽ちゆくヒル》をドラゴントークンに変えターンエンド。
この巨大なフライヤーへの回答をライブラリートップに求めたタカハシであるが、そのカードを確認した後投了を告げた。
タカハシ 0-1 オオクボ
Sideboarding
タカハシ
in
2《無限に廻るもの、ウラモグ/Ulamog, the Infinite Gyre(ROE)》
2《引き裂かれし永劫、エムラクール》
4《召喚の罠》
out
3《茨異種/Thornling(CON)》
2《カビのシャンブラー》
3《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(M10)》
冒頭でもお伝えした変則サイドボーディングで「罠モード」に。
オオクボ
in
3《よろめく死体》
2《破滅の刃/Doom Blade(M10)》
out
2《芽吹くトリナクス/Sprouting Thrinax(ALA)》
1《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander(M10)》
1《荒廃稲妻/Blightning(ALA)》
1《瀝青破/Bituminous Blast(ARB)》
打点の高い《よろめく死体》と、ブロッカー排除の《破滅の刃》投入で、より強くビートダウンを行えるようにシフト。
Game2
先手のタカハシ、初手を見るやマリガンを宣言。Game1の再現が危ぶまれたが、6枚の手札を何とかキープ。
ファーストアクションはタカハシの《広がりゆく海》。《野蛮な地/Savage Lands(ALA)》を島に変える。その後《貴族の教主/Noble Hierarch(CON)》キャストでマナを伸ばしに掛かるタカハシだが、返すオオクボ、《豊穣の痕跡》からの《破滅の刃》でこのマナ生物を即排除。マナ加速からの土地破壊の恐ろしさは良くわかっている。
それならばとタカハシ、次なる矢として《水蓮のコブラ》を繰り出す。しかしこれも返しのオオクボの《終止/Terminate(ARB)》でマナを生み出す事なく除去され、さらに《朽ちゆくヒル》キャストでクロックまで用意されてしまう。
なかなか思うように展開させてもらえないタカハシだが、マナ加速の種は豊富に持っており、さらに《水蓮のコブラ》をキャスト。
しかしマナが整ってしまったジャンドはここからが恐ろしい。《豊穣の痕跡》キャストからの《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf(ARB)》からの続唱《荒廃稲妻》で手札・ライフ・盤面と三方面からタカハシを攻め立てる。
何とか耐えたいタカハシ、ブロッカー兼土地破壊の《酸のスライム》で山を破壊。しかしこのブロッカーは返しの《大渦の脈動》で排除され、ヒルパンプでライフは5。
いよいよ苦しくなったタカハシ。キャストされた《貴族の教主》はあまりに頼りなく、返しのオオクボの《包囲攻撃の司令官》がゲームを決めた。
タカハシ 0-2 オオクボ
敗れはしたものの、その独自のデッキ構築とサイドボーディングプランで大会にインパクトを残したタカハシ。2ゲームともマリガンに襲われたのが悔やまれるが、試合後すぐに観戦者とサイドボードの検討をするなど、その目は早くも次の試合を見据えていた。
一方、『Jund is Dead.』の声を跳ね返さんばかりの快進撃で、シングルエリミネーションを全勝で駆け抜けたオオクボは、
「《よろめく死体》と《豊穣の痕跡》が強かったですね」
と、活躍したカードについてコメントしてくれた。いずれも現在のメタゲームを踏まえた調整の賜物である。
Congratulation オオクボヒロノブ!
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